
聖なるイチジクの種
Amazonprime吹き替え版で
2026年5月視聴
2時間47分
いつも1時間30分前後の映画を
見ています。
かなり長いと思いましたが
見る価値はあると思います。
英語題 The Seed of the Sacred Fig
Sacred Fig=聖なるイチジク
旧約聖書では、アダムとイブが
禁断の実を食べたことで
羞恥心を知り、イチジクの葉で
腰をおおったという話から
「恥じらい」「隠されたもの」
「人間の弱さ」の象徴とされています。
舞台はある事件に揺れるイラン
2022年マフサ・アミニと言う女性が
亡くなりました。
彼女はイランの首都テヘランで
逮捕されました。
風紀警察に逮捕された理由は
ヒジャブの着用方法が不適切だったことと
タイトなズボンを着用していたこと。
トルコイスタンブールでも
ヒジャブを着用している多くの女性を
見かけましたが
伝統的な服装ではなく
ジャケットやデニムなどの
私たちと同じような服装でした。
同じイスラム圏の国でも
考え方はだいぶ違うようです。
逮捕の3日後、
彼女は心臓発作で死亡しましたが
連行されるバンの中で
暴行を受けたという証言が有り
やがてそれが抗議運動に
発展しました。
父親の職業を話す日
イマンは予備判事(調査官)に昇進した。
妻は3LDKの官舎に住めると
喜んでいる。
仕事柄危険だからと言う理由で
護身用の銃を支給される。
彼が務めているのは
革命裁判所。
そこは世間から疎まれている。
昇進を手放しでは喜べないですね。
妻の提案でこれを機に
娘たちに父親の職業を
話すことにする。
この時のレストランの個室が
興味深いです。
なぜ今まで話さなかったのか。
裁判では誰かが勝ち、誰かが負ける。
刑を言い渡される者もいる。
判決に不満を持った者が
その矛先を関係者に抜けることも有る。
だからイマンは匿名で仕事をしていた。
住所や顔がさらされたら
それは命を脅かすかもしれない。
父親に迷惑をかけないために
母親が娘たちに強く言ったのは
ヒジャブ着用は必須
SNSに顔写真は出さない
常に清廉潔白でいる
隙を見せると糾弾される
(世間からバッシングされる)
出かける場所、態度、服装
付き合う友達も
会話の内容も注意すること。
母親の世代には
普通のことかもしれないが
娘たちの世代にとっては・・・・
仕事への欺瞞
上司?から言われたのは
書類など確認せずに署名すること。
それが検事の命令。
実直なイマンは抗議をするが
同僚?が見せたメモに書かれていたのは
「盗聴されている」
イマンのポストは多くの人が狙っていた。
そして上司は彼を嫌っていた。
ちょっとしたミスが
命取りになる。
検事命令には絶対逆らってはいけない。
それが同僚のアドバイス。
彼の前任者は
死刑を求める書類への
署名を拒んで解雇になった。
家族の亀裂
厳格な母親は娘の友達を
快く思っていない。
若い女の子が家を離れ
大学の寮で暮らすこと自体
ふしだらだと思っている。
そのサダフ(友人)が
抗議デモに巻き込まれて
ひどいけがをしても
とばっちりを受けるのを恐れ
車を読んで寮に返した。
そしてサダフは警察に連行された。
娘や夫の立場を守ろうとする気持ちも
わかる。
娘たちにとっては
友人を守れなかったことへの
無念さもわかる。
この時テヘランでは
集会に参加しただけで
懲役5年が言い渡される。
イマンの暴走
娘はTVのニュースを嘘だという。
なぜ嘘だとわかるかは
この国でそれを実際に見ているから。
父親は言う。
敵の思想に囚われていないか?
この国は世界中から敵視されている。
全て敵の陰謀だ。
敵がメディアを操り人々を
洗脳している。
父親やその世代の人たちは
みんなそんな風に思っているのか?
そんな時大変なことが起こる。
護身用の銃が家の中で紛失する。
それが発覚すれば
彼には無能のレッテルが貼られ
しかも懲役3年の刑になる。
きちんと精査せずに
死刑判決に署名することを
疑問視していたイマンが
やがて本性を現し
暴走を始める。
冒頭のナレーション、
聖なるイチジクの木の一生は
独特だ
種子は鳥の糞に混ざり
他の木に落ち発芽すると
地面に向けて根を伸ばす
そして宿主の木に
枝を巻き付け締め上げ
最後には独り立ちするのである
これをどういうふうに理解するかは
それぞれの立場で違うと思う。
イマンにとっては宿主の木は正義で
ひとり立ちした枝は
どっぷり体制側の狂気かもしれない。
暴動の場面は本物の映像
監督は国家安全保障に反逆する罪で
実刑判決が下っていたが
執行される前に国外逃亡し
ドイツに亡命している。
Wikipediaの情報によると
この映画は2023~2024年に
秘密裏に撮影された。
政府を批判するような
映画に出演することは
役者にとっても命がけかもしれない。
映像はハンブルグで密かに編集され
完成版には実際の抗議デモや
警察による暴行を捉えた映像も
加えられている。
日本でも戦前は言論統制が有り
思想犯として投獄された人も
大勢いた。
今の日本では言論の自由が有り
政府を批判しても
それはひとつの考え方として
認められている。
でも、地球上には
そんな自由さえ認められていない国は
少なく見積もっても
数十カ国あるそうです。