画像はAmazonPrimeより引用
DIOR AND I
ディオールと私
邦題も同じタイトルです。
AmazonPrime字幕版で視聴
2023年1月
1時間30分
クリスチャン・ディオールの
新しいデザイナーとして起用された、
ラフ・シモンズが
最初のコレクションを開催するまでの
そのドキュメンタリー。
DIORとは
1947年にメゾンが設立された、
老舗のオートクチュール。
(高級注文服)
名前くらいは知っていると思います。
一般人の手が届くのは
香水やスカーフ、化粧品など。
もう一声!で、バッグや靴。
私の靴より0が一つ多いです。
クチュールメゾン
オートクチュールなので
採寸して仕立ててくれるわけです。
まとめて工場でダーッと作る訳ではなく
お針子さんたちが手仕事で仕立てます。
クチュールメゾンで働くお針子さんたちは
胸にディオールのネームが入った白衣を着ています。
特別な顧客には
専用のトルソーが有るのかもしれません。
勿論プレタポルテ(高級既製服)も有ります。
こちらは工場で作る・・・のでしょうね。
新しいデザイナー
老舗ブランドの後継者として
気鋭のデザイナーを迎える。
その始まりは、低迷していたシャネルを復興させた、
カール・ラガーフェルド。
グッチの復興はトム・フォード。
ジャン・フラン・コフェレもディオールに
迎えられています。
この映画は2012年に
ラフ・シモンズが
デザイナー(アーティスティック・ディレクター)
として迎えられたところから始まります。
ラフはディオール初のベルギー人デザイナー。
フランス語はどうも苦手な様で
補佐役で彼の右腕、ピーター・ムリエに
通訳してもらって伝える場面が多々あります。
ピーター・ムリエはラフとスタッフとの
大切な潤滑役を担っています。
職長の一人と彼は相思相愛で
大好きって言っています。
彼がゲイなのが残念だわって。
ジルサンダーのデザイナーでミニマリスト。
メンズウエアの世界で知られている程度で
オートクチュール未経験のラフの抜擢に
ファッション界も注目したようです。
伝統を受け継ぎラディカルに
ディオールの特徴は
フェミニン
美しいシルエット
節度のある装飾性と豪華さ
ロマンチックな味わい。
濃く受け継がれているメゾンディオールのDNA。
それを無視して
自由自在に創作できるわけではない。
クリスチャンディオール氏のデザインした服を
(実物が有る)コンテンポラリーと評し
それを踏まえたうえで
ラディカル(革新的)なアプローチで挑みたい。
それがラフの考え。
※当時のコレクションだけではなく
スタイル画や使用した生地サンプルも
ファイリングされています。
デザインはイメージから
デザイナーと言えばデッサンを書いて
パタンナーが型紙を起こし、
縫製のスタッフが形作る。
そんなイメージですが
ラフはちょっと違う。
彼はデッサンを描かずに視覚的に進める。
12の衣装のコンセプトが有るとすると
12のファイルを用意し
それを担当者に渡す。
各自が150~200枚のスケッチをし
その中からラフが3~4枚を選ぶ。
ファイルの中にあるのはイメージを伝え
デザインのヒントになるような
何枚かの写真。
そしてストーリーについて
スタッフと話し合い詰めていく。
創作とビジネス
ラフは穏やかな人で
ジレンマをぶつけてはこない。
ファッション業界も芸術ではなくビジネス。
コレクションのフィッティングの席に
職長と販売担当者が欠席している。
さすがにこの時は憤りを感じた様子。
ドキュメンタリーでは
こんな場面で必ず声を荒げて
怒りをぶつける様子が映し出されます。
そんなシーンを見ちゃうと引くわ~!
だけど、今回はそれが有りません。
重要なスタッフがいなければ
アトリエは機能停止になってしまう。
ビジネス優先も仕方がない事です。
シーズン毎に
5000万円の注文をするNY在住の顧客が
フィッティングをしたいと言えば
大切な時期でもNYに飛ぶ。
感性が育つ場所
ラフたちはヘリである場所に向かう。
クリス・チャンディオール氏が育った家。
左:4travel 右:Dior.comより引用
わたしが幼いころ過ごした家は
淡いピンクと灰色を混ぜた色だ。
私の好きな色で
今もクチュールに使う。
中略
私は生涯ずっと
この屋敷と土地の影響を受けて来た。
クリスチャン・ディオール氏は
自伝でこう語っている。
海が見える高台にあり
手入れされた庭には花が咲き乱れ、
この環境が感性を育てたのかもしれません。
どんな素晴らしい環境で育っても
それを感じる心を持っていなければ
感性は育たないし
反面教師から学ぶこともある。
彼が起用されたわけ
クリスチャン・ディオールは
単独で株式を上場していますが
複合企業LVMHに属しています。
※モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン
彼が起用された理由については
触れられていませんが
ドキュメンタリーで見る彼の人柄
クチュールにとって
大事なのは人材と言う考え方。
わかる気がします。
2016年に自分のブランドに専念したいと
ディオールを退いています。
ファッションに興味が有ればぜひ、
興味が無くても
クリエイティブな世界、
物を作り上げていく苦悩、
そして達成感にムネアツになると思います。
ディオールのアトリエにカメラが入ったのも
今回が初めてとのこと。