Amazon.co.jpより
ノマドランド
2024年3月
Amazonprime吹き替え版で視聴
1時間47分
ノマド=遊牧民
オフィスに縛られず仕事をする人たちを指すが
この映画はそれとはちょっと違う。
原作はノンフィクション、
ノマド:漂流する高齢者たち
原作のこのタイトルの方が
内容に合っていると思います。
閉鎖された町
冒頭に流れるテロップ。
2011年1月31日
USジプサム社は業績悪化により
ネバダ州の石膏(ジプサム)採掘所を閉鎖。
企業城下町でもあるエンパイアも閉鎖され
7月には町の郵便番号も抹消された
日本にも炭鉱閉鎖などで
寂れた町が有りますが
郵便番号を抹殺されるなんて
そこに住むことさえ許されないような感覚。
やむにやまれずのノマドは
PC1つで好きな場所に行って仕事をするような
悠々自適で自由な生活とは
一線を画します。
ファーンがバンに必要最低限の荷物を積んで
デザート・ローズ RVパークへ乗りつける。
バンの名前はバンガード(先駆者)
バンに名前を付ける?船みたいな感覚?
RVパークはいわばトレーラーハウスの
駐車場。
バンで生活する人たちがそこに集まる。
ホームレスじゃなくハウスレス
ファーンは採掘所で事務の仕事をしていたが
その後5年間代用教員の職に就いていた。
偶然スーパーで教え子と
その家族に出会う。
「先生はホームレスになったの?」
「私はホームレスじゃなくハウスレス」
日中はAmazonの配送センターで
荷造りや出荷の作業をする。
アマゾンの繁忙期だけ働いているようで
その間は駐車場代もアマゾンが負担。
アマゾンとの契約が切れると
駐車するだけで月$375
とてもそこでは暮らせない。
また来年、そう別れを告げて
皆は散々になって職を求めて旅をする。
もっと温かい南へ行けばと言われるが
ここから離れたくない。
亡き夫と暮らした街だから。
ガソリンスタンドの駐車場で
夜を過ごすことにするが
とてつもなく寒いところらしい。
RTR
ノマド初心者の訓練所
放浪者の集会
(ラバー・トランプ・ランデブー)
ファーンはその集まりに参加してみる。
それぞれがバンで暮らし始めたきっかけを話す。
その中で印象的だったのが
定年退職10日後に
病でなくなった同僚から言われた言葉
「時間を無駄にするな」
それで早期退職しバンで暮らすことを選択した人。
バンで暮らす人たちの共通点は
孤独であるということ。
ファーンも夫を亡くし
子供もいなくて身軽だったから
この生活を選択したのだと思う。
ただ、貯蓄などで
生活を維持することができていたら
ノマドになることもなかったかもしれない。
このセミナーで教えてくれること。
都会で車中生活をする時
警察に窓をたたかれない方法。
排せつ物の処理。
缶切りやナベつかみなどの物々交換。
救助の呼び方、タイヤの替え方
学ばなければ生きていけないことが沢山有る。
NY等の大都会のホームレスは
スーパーのカートに全財産を乗せて
路上生活している。
眠るのもガード下など。
ファーンたちは車があるだけまだいい。
ノマドというと、
好きな場所で仕事をする人。
人生を謳歌している人。
そんなイメージが有りますが
この映画のノマドたちは
ほとんどが家を持たない高齢者や
周りから、人生を投げ出して
放浪していると思われている若者。
皆それぞれが切ない思いを抱えている。
ノマドの多くは高齢者で
みんな悲しみや喪失感を抱えている。
ノマドの良いところはさよならを言わない事
みんなまたいつかどこかで
そう言って別れる。
ファーンは貸倉庫に保管していた、
持ち物を全部処分する。
それはまるで過去を断ち切るように。