
静かなふたり
Amazonprimevideo字幕版で
2025年11視聴
1時間13分
原題 Drôles d’oiseaux
英訳 Funny birds(funny滑稽な、面白い)
直訳すると面白い鳥ですが
ちょっと風変わりな人を
こんな風に言うようです。
ストーリーの中で突然カモメが
落ちてくるシーンがあります。
奇妙な出来事という意味なんでしょうか?
それとも単なる遊び心。
緑の麦畑
ある日カフェで張り紙にふと目をやると
貸間ワンルーム
家賃は数時間の労働
当書店「緑の麦畑」へ来店のこと
興味をもって店を訪ねるが
店主らしき人は見当たらず
そのまま帰ってしまう。
(お客のように見えた彼が店主)
翌日再度訪れると店主らしき白髪の紳士が
所用で出かけると言ってレジのカギを渡す。
まだ名前も聞いていないのに。
とっさにカード払いは?と聞くと
現金払いが常識だし客は来ないって言い放ち
さっさと出かけてしまう。
何の説明もなしに放置はしんどいけど
どうせ客は来ないのが安心材料。
これが二人の出会い。
マヴィはトゥールからパリにやってきて
まだ間もない。
【トゥール】
歴史的建造物と自然が混在する、
パリから約1時間の街。
パリに来た理由は
息苦しさから離れたかったから。
ジョルジュは全く商売に興味がなく
段ボール箱に入ったまま放置された古書を
片付けるのはマヴィの仕事。
指示を仰ぐわけでもなく、
仕事を教えるわけでもなく
淡々と日々を過ごす。
ルームシェアをしているマヴィに
引っ越し代をポンと出すジョルジュ。
ふたりで食事をした時にも
封筒に入ったお金を渡す。
儲けがあるとも思えない商売だけれど
お金に苦労したことはないと
彼は言う。
ふたりの距離感
ジョルジュは散歩でもしようと
午後三時に店を閉め
彼女をドライブに誘う。
気ままに生きよう。
さぼりたいだろうって。
歩かないんか~いと私の心の声が言う。
そして、さぼっていいなら
ひとりでいさせてと付け加えたい。
店で働くようになって
どのくらいの時間がたったのか
見ていて全くわからないけれど
季節が変わった様子もないので
さほど時間はたっていない気がする。
エッフェル塔を遠くに眺めながら
テラスに並ぶ二人
彼女は27歳、彼は70歳。
三時に店を出て帰りはもう真っ暗。
この季節、日が落ちるのは早いとしても
二時間以上は一緒にいたはず。
口数の少ない二人が
同じ時間を共有できたのは
マヴィもジョルジュも
ふたりの波長がリンクするのを
感じ取っていたのだと思う。
反核のデモ
街ではプラカードを持ったデモ隊が
通り過ぎる。
過激なデモではないが
路上ではチェルノブイリのポテト、
福島のポテトが売られている。
本当にそうなのかその辺の八百屋で
買ってきただけかもしれないけれど
原子力発電危険をアピールするためのもの。
福島の・・・というのは
ちょっとショックだった。
マヴィがデモに賛同すると
ジョルジュはデモだけでは
何も解決しない。
根本をガツンとやらないと
何の意味にもならないという。
後に彼は赤い旅団の一員だったことを
告白する。
【赤い旅団】
イタリア極左テロ組織
主張はイタリアの革命と
西欧同盟からの離脱
数多くの殺害や誘拐などを繰り返した。
モーロ元首相の誘拐事件では
対立関係にあった当時の内閣が
身代金支払いを拒絶し殺害された。
ふたりの距離感
体調が悪いと電話をすると
わざわざ部屋まで来て
良くなるまでそばにいるというジョルジュ。
彼氏か!
後々出てくるが
彼の家は別の場所にあるようです。
夏目漱石がI LOVE YOUを
月がきれいですねと訳したという逸話は
有名です。
日本人は直接的な言い方をしないから
このくらいの言い回しが
訳としてはちょうどいいという理由。
マヴィはもっと年が近ければ
よっかったのにって。
これは直球寄りのI LOVE YOUです。
心の声なのか、伝えた言葉なのか
ふたりの会話なのか
モノローグなのか
面と向かって伝えたのか
電話で伝えたのかそこは描かれていません。
J)昨日君と愛し合う夢を見た
M)私もたまに見る。
J)夢では35歳
M)私は今より年上の女。
M)心の年齢なら私が大人であなたは若者。
J)大人になることを拒んできいるだけだ。
ジョルジュは手紙を置いて出ていきます。
人生は最低だけど出会えてよかった。
年が近ければよかったって思うけど
こういうものさ。
お互い忘れるのがいい、許してくれ。
何かあった?見飛ばした?
たぶん描かれてはいないと思う。
この時点で去ったのは
単に距離を置くためかもしれません。
ある日2人の男が店にやってきて
彼の居場所を聞かれ
パリを去ったこと、
自分が店の後継者であることを話すと
去っていった。
以前かかわりがあった男が
店にやってきて突然倒れ
彼を病院へ連れて行ったことから
警察に突き止められたらしい。
あと1年で時効になるから。
この後去ったのは警察の捜査から
逃れるため。
たくさんの謎が残る映画
刑事らしき人たちは
いないと言われてさっさと帰る。
店で倒れた男もよく意味が分からない。
この映画を波長にしたら
乱高下することもなく
ポエムの朗読のように淡々と進む。
シャンソンを聞くように見ていれば
プラトニックなラブストーリーで
終わってしまうけれど
ライター目線で見ると謎が残る
なぜ彼は裕福なのか
お金に困ったことはないという彼は
もともと裕福だったのかもしてれない。
あるいはテロ組織にいた頃の
資金や身代金かもしれない。
店の来客は1度しか見たことがない。
理由については触れられていない。
あの写真は誰
彼の部屋には若いころの(多分)写真や
元妻と子供と思しき写真がある。
妻と別れた理由は触れられていないが
子供を持たなかったのは
手間がかかるだけで面倒だからと言っている。
実は子供を亡くしたか
何かわけがあって
あえてそう言っているのかもしれない。
新しい恋人?それとも友人?
マヴィが同年代の男性と
親しげに映画を見ている。
時の流れが全く分からないし
どうやって知り合ったかも描かれていない。
その男性はこれからデモに参加してくると言う。
そのあとにハッカー云々の新聞記事が
映し出される。
それが彼と関係あるのかないのかもわからない。
時代や形が変化しても
魅かれた男性は思想家。
その重ね合わせを示唆しているのか?
ジョルジュといる時のマヴィと
彼といる時のマヴィの笑顔は
全く違って見えるけれど
彼女がトゥールに帰るのは
パリはジョルジュと過ごした街だから?
彼は店に戻らず
姿を消してそれっきり。
だがその思い出は人生に付きまとう。
亡きジャン=マリ・ロドンに
最後にこの文字が表示されます。
たいていの場合、亡くなった出演者や
スタッフ、関係者だったりしますが
実在の人物ではないようです。
これ、実は映画の裏設定で
亡くなった妻の連れ子で、
義理の息子がジャン=マリ・ロドン。
子供が嫌いだという発言は
息子を失った喪失感の
裏返しだったようです。
…って戻ってきたのは
車の中から店の方を見ているジョルジュ。
店の中から若い男性と出てくるマヴィ。
彼の表情は写りませんが
どんな思いなんでしょう。
もしかしたら時効が成立して
戻ってきたのか?
その思いを図ることはできません。