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生きることって楽しいを見つけることじゃない?

ハンドメイズ・ティル/侍女の物語

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 The handmaid's tale 侍女の物語

カナダの作家、マーガレット・アトウッドの小説を原作に

制作されたアメリカのディストピア( dystopia)と言われるジャンルの

テレビドラマです。

ディストピアとはユートピア(理想郷)の真逆な社会です。

行動制限のある監視社会での出来事まさにそれがこのドラマです。

ハンドメイズというのは女性のお手伝いさんや召使の事。

邦題では侍女となっています。

ネット配信ならではの描き方

独裁的な宗教国家であるギレアドが舞台です。

欧米では宗教の描き方が反キリスト的だったりすることでも

物議をかもします。

映画になるとR指定になるであろう表現もあるので

ネット配信だからこそ原作に忠実に描かれているようです。

今よりちょっと先の未来に

舞台はほとんど現代のアメリカ。

全体主義者(独裁主義に近い考え方)の

キリスト教原理主義(キリスト教右派)がクーデターを起こし

アメリカがギレアド共和国となる。

そして、自由の国アメリカは軍国主義・身分主義へ変貌を遂げる。

つまり、個人だ自由だって言ってるから

アメリカはこんなになっちゃったんだよ。

正しい俺たちに従ってれば良いんだよ!

つべこべ言うな!

こんな感じになった訳です。

 

ここから侍女たちのつらい日々が始まる

当然まともなアメリカ国民たちは、冗談じゃないって

隣国カナダを目指します。

アメリカでは環境問題などの影響で

不妊率が上がり出生率が激減していました。

新しい国家ギレアドでは、

アメリカ国内の妊娠可能な女性を強勢収容し

ギレアドの子供を産むための侍女と言う身分を与えます。

主人公のジューンも幼い娘を連れ、夫と共に逃げる途中で

ギレアド軍に拉致されてしまいます。

幼い娘はギレアドの富裕層の幼女となり

ジューンは侍女になるべく訓練センターに送られます。

女性が従属する社会

コンピューターもドローンも有る世界ですが

まるで中世の社会のように見えます。

拉致された女性たちは侍女となるべく

センターで教育されます。

今まで社会の一線で働いていた女性すら

自我を捨て屈辱的な立場を受け入れなくてはいけません。

明確な細分化

社会における身分は細分化され、できる事やってはいけない事が

こと細かく決められています。

それは服装にも反映され、一目瞭然で立場が分かる仕組みです。

司令官   黒

運転手   ネイビー

司令官の妻 青みがかった緑の服

侍女    赤(目立つので監視しやすい)

女中    グレー

おば(センターの教官)カーキ

司令官の娘(子供)ピンク

 

女性は本どころか文字を読むことも禁じられています。

侍女たちは女中(司令官宅で家事をする)から

買い出しを言いつかり

自由行動できないよう2人ペアで外出します。

その食料品店では食品のラベルは絵で描かれています。

本を読んだり文字を書いたりしたことが発覚すると

指を切断されます。

司令官フレッドの妻であるセリーナは

かつては夫の政治活動を支え本を執筆するキャリアウーマンでしたが

文字に触れたことで小指を切断されるという

夫に従属することを強いられる立場になっています。

名前が無い侍女たち

侍女たちは仕える司令官の所有物です。

フレッド家の侍女となったジューンは

オブ フレッドと呼ばれます。

フレッドの所有物と言う意味です。

 

侍女たちは司令官の子供を産む道具となり

実母がそばにいると子育ての妨げになるため

子供と引き離され、別の司令官の侍女となります。

そして、また新しい名前になります。

 厳しい掟

町中には機関銃を手にした男たちが常に監視しています。

「目」監視役

「ハンター」国外脱出者を狩る

「守護者」武装しあらゆる階層を見張る

街のあちこちには、つるし首になった遺体がさらされています。

背くものがどうなるかと言う見せしめです。

人々はそれに慣れてしまいます。

生き抜いていくこと

このドラマを見て、特に女性の立場からすると

何とも言えないやりきれないものを感じます。

主人公のジューンは権力に屈することなく

レジスタンス活動を水面下で行う一方、

引き離された娘ハンナを探し出すため

カナダへ逃げるチャンスを自ら放棄します。

作者は、生きることを貫くため

何事にも屈しない意志、希望を持つ心、そんな生命力を

描きたかったそうです。

屈してはいけない。声をあげることの必要さを訴えています。

最後まで見たわけ

ドラマや映画を見終わって「すっきりした」「楽しかった」

そう思えるものだけではありません。

重苦しさに、押しつぶされそうになることも有ります。

作者の言いたいことはわかりますが

それを描くためのこの設定は、私自身としては受け入れがたいです。

それなのになぜ見続けたのか。

シーズンを重ねるごとに

少しずつ希望の光が見えてきます。

だから最後のシーズンまで見届けたい。

 

ジューンがギレアドで反逆者となり生涯を終えるのか?

カナダへ亡命した旧アメリカ国民から殉教者として

語り継がれるのか。

娘ハンナと再会し、カナダへの逃亡者に託したギレアドで産んだ娘と

再開できるのか。

 

2020年5月時点ではシーズン3までがHuluで配信されています。

シーズン4の製作が発表されています。

配信前に1~3を視聴してみてください。 

重い気持ちになるかもしれませんが

希望を持つ意味を感じることができるドラマです。