春のにほひ
一年の始まりは、一月一日ですが
年号が変わっただけで、干支が変わっただけで
何の変化もありません。
三月で終了して四月から新しい学年に。
三月で卒業して四月から新しい学校や仕事に。
お役所も年度末。
三月の終わりは一区切りの感があります。
ようやく寒さも和らいで
分厚いコートを脱いで
外に向かう気持ちに溢れます。
一年の計は元旦にあり?
3月までは締めくくりみたいな気がします。
ここでいったん区切りをつけて
新たな気持ちで臨む気分になります。
もう、新しい文房具を揃えることも
環境の変化にドキドキする事もありませんが
新しい始まりにほんのちょっとの期待と
ほんのちょっとの不安が入り混じったような
落ち着かなさを思い出す季節です。
雨が降り出す前に
湿った土の匂いを感じることはありませんか?
それは人間が本来持っていた原始の記憶です。
同じように
四月だけは季節の匂いを感じます。
あの頃の思いとともに。
※古典の「にほひ」は臭覚だけではなく
見た目の色鮮やかさや気品など
多様な表現として使われていますが
今回は匂いという意味で使っています。