赤の大地と失われた花
原題 The Lost Flowers of Alice Hart
Amazonオリジナルドラマ
吹き替え版
2023年8月視聴
原作は同名の小説
全7話から成るミニドラマ。
エピソード1 ブラック・ファイア・オーキッド
花言葉:所有欲
その家にはたくさんの花が飾られ
壁には額装した花の刺繍が。
花言葉だけではなく
花の組み合わせや飾り方には
それぞれ意味がある。
アリスの新しい人生が始まる。
図書館司書のサリーもなんだか訳あり。
エピソード2 ワトル
花言葉:いつもあなたと一緒に
その場所はソーンフィールド、
沢山の花を育てている。
そこで働くのはなぜか女性ばかり
そして彼女たちにも色々ありそうです。
ジューンとツイッグ
2人の関係性はまだ見えてこないのですが
夫婦的な感じがします。
アリスのひいひいおばあさんが始めた
この農場に伝わる花言葉の本は
受け継いだ者たちが書き足していますが
そのボタニカルアートが素敵です。
ワトルはミモザのような花
アリスのママ、アグネスは
その花を髪に飾っていた。
アリスはアグネスがここにいたのかと
祖母に聞くが答えはノー。
ジューンとツイッグは夫婦です。
サリーの家には
クレム(アリスの父)が彫った木彫りの像が。
それは亡くなった娘ジェマの彫刻。
その意味は想像がつくでしょうが・・・
おばあさんの家で見つけた、
不思議の国のアリスの本には
あるメッセージが。
アリスはクレム、アグネスの事を
知ることになる。
エピソード3 ランタン・ブッシュ
花言葉:希望は目を曇らせる
ここは言わば
女性たちのシェルターでもある。
ジューンが執拗に外界との接触を
避けているのは
その女性たちを守るためでもある。
早産で生まれ治療を続けていた、
アリスの弟は
自発呼吸ができるようになり
家に戻れるようになるが
ジューンの頭の中には
クレム(アリスの父)の姿が浮かぶ。
それはジューンのDNAを
継いだ子供でもあるが
彼のDNAを継いだ子供でもある。
エピソード4 リバー・リリー
花言葉:隠された愛
アリスが怒りまくって
家を出ていく。
車に書かれているのは
アリス・ハート
花言葉師(フローリオグラファー)
アリスはジューンの机に
ある花を一輪置いていった。
花言葉は裏切り
農園で養蜂もやっているようで
純粋な蜂蜜を
何にでも効く薬として食していたが、
ジューンは子宮癌の術後
体調がすぐれなく
傷口に蜂蜜を塗って・・・・って
民間療法過ぎる。
成長したアリスは
幼馴染のオギーと(ブルガリアの不法滞在者)
結婚の約束をしていたけれど
移民局へのリークで
強制送還されてしまう。
オギーは何年もアリスに手紙を
書き続けていたけれど
それはジューンによって隠され
メールもブロックされていた。
ところで、勝手に舞台は
アメリカだと思っていましたが
オーストラリアらしいです。
アリスの弟は危機を脱し
家に帰れることになるが
ジューンの独断で彼は・・・
この農場に男はいらない。
息子のクレム(アリスの父)も
それが理由で農場を継ぐことが無かった。
妻や娘へのDVも
女性に対する憎しみだったのかもしれない。
ジューンはアリスの弟チャーリーを
サリーに託していた。
そのことも、チャーリーが姉のアリスに
送っていた沢山の手紙の束を
隠していたことも
ツイッグ(ジューンの妻)にさえ
隠していた。
ツイッグ、怒り心頭!
ツイッグもジューンも女性です。
エピソード5 デザート・オーク
花言葉:復活
アリスは旅先で知り合ったツテで
国立公園のレンジャーになる。
推薦状などなくても
植物の知識が買われての事。
旅と言っても家出同然なので
まさにラッキーだけど
これ、ドラマにありがちな
都合のいい筋書き。
アリスは両親の死も弟の死も
ずっと自分のせいだと思い
罪悪感をぬぐえずにいたが、実は・・・・
アリスは母の名と同じ町
アグネスに来ていた。
好青年の獣医と付き合い始めるが
彼女が惹かれたのは
父と同じ匂いのするディラン。
ダメだー!そっち行っちゃ!
エピソード6 ホイール・オブ・ファイア
花言葉:私の運命の色
ディラン、だんだん面倒くさい男ぶりを
発揮しだす。
面倒なだけじゃなく
束縛男でDV男。
エピソード7 スターツ・デザート・ピー
花言葉:勇気を出して心を強く
アリスは弟と再会し
火事の真相を知る。
けれどジューンへの怒りは
まだ覚めることは無く
弟のいるサリーの家に身を寄せる。
DV男のディランから逃れたにもかかわらず
彼からの”I miss you"のメールに
”me too”と返してしまう。
ちょっと心配!
ジューンが逝去し
沢山の花(女性)たちが葬儀にやってくる。
ジューンが花(女性)たちの声を
記していたのが”失われて花たちの物語”
それは男によって人生も過去も消された
女たちの物語
男たちは罪を追及されることは無い
それは私たちの息子だったり
私たちの兄弟や父親や恋人や
ヒーローだったりするから
声を上げるのは難しい
彼らは私たちが愛し信じた男たち
本来なら私たちを
守ってくれるはずの男たち
そんな男たちの所業を語り
信じてもらうのは辛いこと
でも沈黙は代償を伴う
秘密や羞恥心は心をむしばむ
そしてディランのような男の声だけが残る
※ディランはレンジャーとして一目置かれ
アリスの反撃を暴力と訴え
周囲もそれを信じてしまう
奴らは過去を書き換え
私たちを消し去りしばりつける
映画やドラマは背景で変わる
DVだったり虐待だったり
そんなストーリーは沢山あり
それは社会派なのかもしれないけれど
締め付けられるような気分になるのは
私だけではないと思う。
現実にたくさんあるシチュエーションで、
目を背けてはいけないのかもしれない。
このドラマの舞台が大都会だったら
重苦しさに拍車がかかっていたと思うけれど
オーストラリアの大自然や
沢山の花たちがそれを相殺してくれる。
声を上げる・・・
虐げられているからだけではなく
何事も前向きに勇気をもって、
そんな意味だと思います。